会員向け情報

会員だより

故・岡田千里 氏を偲んで

関東支部オブザーバー、工業所有権センター 吉田敏樹

故・岡田千里 氏 元関東支部長(第12代:H6.4~H8.3)、岡田千里氏が昨年12月6日に逝去されました(76才)。謹んで哀悼の意を表します。

氏は、主に(株)日立製作所にて鋳鉄の研究に従事され、1988年に日立金属(株)に転属、同社素材研究所においても鋳造に関する研究、技術開発に深く関わってこられました。

鋳造工学会においても広い分野で深い見識を活かされ、気さくな人柄とあいまって後輩に対して親しく熱心に指導されてきたことは皆様のよく知るところであると思います。  私が、まだ日立金属の鋳鉄工場に勤務しており、日立製作所に納入するニレジスト鋳鉄品の開発業務に携わったことがありました。工場としては初めて扱う材料でしたから、いろいろ問題があり、今後の展開なども含めて打ち合わせをすることになりました。そのとき丸ビルの本社でお会いしたのが初めてでした。1984年ごろですからざっと四半世紀前のことです。数年後に日立金属で鋳造関係の研究所を新設し、そこで一緒に仕事をすることになるとは、月並みながら人の世の縁を考えさせられることがありました。研究所は栃木県の真岡市にあり、氏は借上げ社宅にお住まいでした。地方の新設研究所は小さな所帯ですので、ゴルフや宴会などご本人は結構羽根を伸ばされたのではないかと思っています。本業やそれ以外にも日本ダクタイル鋳鉄協会の行事などでいろいろとお付き合いすることがありましたが、出張などで何処へご一緒しても幅広い人脈と気の置けない人柄で、これにすがって私はずいぶん得をしたように思います。

 昨年暮れに東京付近在住の研究所OBで忘年会を企画しておりましたが、「突然入院されて出席できなくなった」との連絡があってまもなく訃報を知らされました。お通夜の会場に行くと、東北支部の千田昭夫さんが放心したように階段の途中に立っておられて少しお話ししましたが、千田さんが日本ダクタイル鋳鉄協会の会報(DCI NEWS No.32、2.1発行)に書かれた追悼文を拝読して改めて故人の人となりを想い、さらに思い出すことの多い時間を過ごしました。ご冥福をお祈りします。