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鋳物用語解体新書

堰(せき):ingate, gate, inlet

 鋳物用語辞典によると「溶湯が鋳型に入る所で、湯口系の最終場所をいう。」とある。その役割については書かれていない。一般に溶湯を目的の鋳物になる空隙に導くために鋳型には湯口系と呼ばれる部分がある。それは、溶湯を受ける漏斗状の受口、湯口と呼ばれる円柱が垂直に続き、その先端が湯口底で、台形状の湯道が水平に延び(先端を湯道先)、この途中に必要に応じていくつかの堰が取り付けられ、鋳物になる空隙につながる。

 国語辞典で「せき」 【▼堰/▼塞】は、①水をよそに引いたり、水量を調節するために、川水をせき止めた所。②取水のため、また流量や水位を調節するため、川の途中や湖・池の出口などに流れを遮って作った構造物。と説明される。鋳物用語では②が当てはまる。具体的には湯口比と呼ばれる「湯口断面積:湯道断面積:堰断面積」で溶湯の速度・流量などを調節している。これの比をどう決め、何処に堰を切るかが鋳物の出来を決める因子でもある。

 

(H.K)
(2010年11月)