関東支部のご案内
ごあいさつ
支部長に就任して
佐藤 健二
2008年初頭に原油価格が1バレル$100を越え,その後,百数十ドル台を維持しています。また,数年前に始まった非鉄金属や高融点金属などの高騰は,現在,鉄やマグネシウムにも波及しています。信頼性の高い鋳造品を短納期,低コストで造ることを期待される鋳造やダイカスト業界にとって,これら地金の高騰は製造コストを大幅に上昇させ,その経営はかなり厳しい状況となって来ています。このような環境下で求められるものは,原材料のロスや不良などを最小化する工夫と努力です。企業は今まさに生き残りを賭けた時期に遭遇しているといえます。
「ものづくり」には,人と技術,それを上手く活かす環境が必要です。これらを創り上げ,円滑に作用させる役割の一つを背負っているのが,日本鋳造工学会関東支部と考えます。我が支部の会員は維持会員を含め,2001年度末の931名から2003年に800名台まで減少し,その後僅かずつ減少して2007年度末現在では838名となっております(図)。
この原因は鋳造に携わる技術屋が減っていることも一つですが,もっと大きな原因は会員になるメリットであると考えています。例えば,ダイカストや鋳物の不良対策あるいは開発で有益な情報が得られれば,会費以上の大きなメリットとなるでしょう。最近のインターネットなど情報媒体の進歩は嬉しいが,一方で使える情報と通説のような根拠のない情報,あるいは一般的で深みのない情報との区別を判り難くしていると考えます。インターネット情報に比べ,会員となって得られる技術情報は,より確かで質の良いものです。しかし現実の会員減少は,現場に必要な情報や情報交換の場が充分に提供されていないと考えられます。
従って,会員サービスの充実を第一の目標とし,これまでの研究,現場技術,広報,YFEの委員会に加え「人材育成委員会」を新設,委員会活動をより活発にし,会員はもとより将来を担う企業,学協会の技術者・研究者が入会したくなるような質の高い技術情報とそれを交流できる環境を造り上げたいと考えています。
平成17~19年度にわたり,「日本にしっかりとした基盤技術を残さないと他の産業全体に大きな影響を及ぼす」との考えで,経済産業省の「鋳造中核人材育成プロジェクト」が全国で実施されました。我が支部では,17年度からの3年間,中江先生(早大)と石原氏(石原技術士事務所)を中心に会員の協力で,座学とインターンシップからなるテストプログラムを実施,その内容の検証を行い,本年度の「鋳造カレッジ」開催にこぎ着けました。我が支部は「人材育成委員会」を中心にこのカレッジ(事務局:日本鋳造協会)を全面的にバックアップします。将来の鋳造を担う技術者を育て上げる「鋳造カレッジ」の講師として支部会員が参加します。ここから育った技術屋が,将来の関東の鋳造を発展させることを期待しています。
支部として,皆様のご協力を得て微力ではありますが,明日の鋳造やダイカストの継続的な発展を支え,少しずつですが,着実に支部を変革して行きたいと考えています。