関東支部の活動

研究

日本鋳造工学会関東支部第70回講演会

欠陥制御による高品質化、リサイクルを目指すプロセス新技術

 平成17年2月25日(金)に日立金属「高輪和彊館(たかなわわきょうかん)」 (東京都港区高輪)の会議室で関東支部第70回講演会が開催されました。
 地球温暖化を防止するためCO2削減が求められています。 自動車メーカーなどではアルミニウム合金を中心とした軽合金への材料置換による軽量化を推進し、CO2削減を目指しています。自動車などに用いる高品質なアルミニウム合金ダイカストを製造するためには介在物、異常組織、凝固割れなどの各種鋳造欠陥の機械的特性に及ぼす影響、 および欠陥制御に向けたアプローチにつめなければなりません。 また、使用するエネルギーを減らしCO2削減を目指す循環型社会の創製のために、今後リサイクルが重要になります。 リサイクルで混入する不純物を積極的に利用するプロセスについての研究と合わせ講演会を企画しました。

アルミニウムダイカストの各種鋳造欠陥(介在物、異常組織、凝固割れ)が 機械的特性に及ぼす影響、および欠陥制御に向けたアプローチ
早稲田大学理工学部 吉田 誠 氏

吉田 誠 氏 アルミニウムダイカストでは、欠陥制御による高品質・高信頼性化が必要となる。介在物や、 巻き込まれた凝固チル層などの欠陥サイズが機械的特性に及ぼす影響を定量的に検討する必要がある。 そのため、従来の介在物の数だけでなく介在物の大きさの分布までを測定する介在物評価法が必要である。 また、近年は、ヒドロ系や耐熱マグネシウム合金など凝固割れ感受性が高い合金の鋳造が増えてきているので、 凝固割れ感受性の簡易評価法や予測、制御法が望まれている。

 

鉄スクラップ中の不純物としてのアルミニウムの鋳鉄への利用
(独)物質・材料研究機構エコマテリアル研究センター 高森 晋 氏

高森 晋 氏 スチール缶など、胴はスチール、蓋はアルミニウム合金でできており、リサイクル時に問題となる。 そのためアルミニウムが不純物として混入した鉄スクラップを鋳鉄に利用することを検討しました。 鋳鉄にアルミニウムが混入すると溶湯表面に大量のノロが発生すると共に湯流れが阻害されるなど鋳造性も劣化します。 しかし、鉄-アルミニウムのカーバイドができ耐摩耗性が向上します。大気中で熱処理すると表面の黒鉛が脱炭し、 そこにマトリックスのアルミニウムが析出し大気と反応してアルミナが生成し、耐摩耗性に優れた表面改質ができます。 その他高温酸化性に優れ、6mass%Alでは、制振性に優れた鋳鉄になることを見いだしました。