関東支部の活動

YFE

YFE工場見学・勉強会

軽合金鋳物の勉強会および(株)東京軽合金製作所,ものつくり大学見学
関東支部YFE企画委員会副査 駒崎 徹

 お正月が明けてまだ間もない平成16年1月21日(水)に本年度最後のYFEイベントYFE工場見学・勉強会を行った。今回のテーマは軽合金鋳物について今一度見直そうということで(株)東京軽合金製作所を見学し、軽合金鋳物の不良対策事例を聞いて勉強することにした。また、(株)東京軽合金製作所のある行田市には、最近ものつくり大学が新設され、鋳造加工をカリキュラムとして取り上げていることからものつくり大学の見学も同時にした。今回のイベントには、関東支部長の石原さんをはじめ総勢23名の人が集まり、とてもYFEとは見えないOFEの方や関東以外の人も参加していた。

 まず、(株)東京軽合金製作所におじゃまさせてもらった。(株)東京軽合金製作所は、アルミニウム合金の重力鋳造、低圧鋳造、さらにダイカストまで行っている総合軽合金鋳物会社である。私たちを快く迎えてくださった(株)東京軽合金製作所の寺内取締役に会社紹介および製品について簡単な説明があった。工場見学では重力鋳造から低圧鋳造(LP鋳造)のラインまでの見ることができたが、ダイカストのラインは新規品の試作があり残念ながら見学が出来なかった。まず、中子のシェル造形ラインをまず見学した。熱膨張による中子割れ防止のために、シェルに高価なセラビーズを使っていた。すぐ近くのLPマシンのラインではワンマン2マシンの体制で鋳造作業が行われ、給湯機にはロボットが取り入れられ自動化も進んでいた。一部のLPマシンの周りには風除けがあり、冬のみに使用しているそうである。風除けがないと金型温度が一定にならず、品質が安定しないそうである。次にシリンダヘッドを鋳造している新しい低圧鋳造機のラインを見学した。このラインを見るのはOKなのであるが、この鋳造機についてまだ世間に公表されていないため、質問は禁止であった。そのように言われたため、見学者一同何が違うのか非常に興味を示しながら新しい低圧鋳造機のラインを見学した。工場見学後、簡単な質疑応答があり、(株)東京軽合金製作所にいた1時間半はあっという間であった。

(株)東京軽合金製作所

(株)東京軽合金製作所の工場見学の後にものつくり大学に移動した。今回、ものつくり大学の見学に際し、ものつくり大学の桜井教授に協力を頂き、見学会が実現した。ものつくり大学(http://www.iot.ac.jp/)は最近設立され、まだ卒業生を出していない新しい大学である。国から85億円埼玉県行田市から60億円、民間から5億円出資し、公設民営のれっきとした私立の大学だそうである。校舎、施設は新しく、実験実習の設備は最新鋭で充実している。とかく最近コンピュータ任せのバーチャルな世界でものづくりが進む傾向にあるが、ここでは名前の由来のように実習がメインの手を汚してものをつくることが優先されているようである。入学して共同でカヌー作りや卒業実習など多くの実習プログラムがあるそうだ。3現主義(現物、現場、現実を見て考える)ことは重要なことであるので、卒業生の将来が楽しみである。

ものつくり大学 外観

 ものつくり大学の見学の後(株)東京軽合金製作所の寺内取締役の再度登場してもらい「低圧鋳造の不良対策」について解説してもらった。4気筒ディーゼルエンジンのシリンダヘッドを例に取り、QC工程表に基づいて溶解工程から鋳造、熱処理など出荷までの品質向上の要点を解説してもらった。非常にわかりやすく的を得た内容でぜひとも若い世代の鋳造技術者に聞いてもらいたい内容であった。

今回、工場見学、大学紹介・見学、勉強会を開くに当たり、ご協力をいただいた(株)東京軽合金製作所 寺内 博 取締役ものつくり大学 櫻井 大八郎 教授に厚くお礼を申し上げます。