関東支部の活動

YFE

YFE工場見学記

小田部鋳造(株)、自動車鋳物(株)
2004/10/21 (有)日下レアメタル研究所 鹿毛

梵鐘と半鐘(小田部鋳造)

 見学会の前日、台風23号が通過、当日10月21日は曇、台風の余韻が残る。JR土浦駅9:00集合は総勢16名(内訳は40才以下3名、40~60才が12人、70才台1人)、2人が台風の影響で遅れ、午後現地で合流となる。14人を乗せたバスは9:15出発、約1時間のバスの旅、先ずは台風で遅れる主催者(駒崎YFE主査)の代役、高森YFE委員が今日の予定を説明、続いて自己紹介となる。右に筑波山を見ながら山麓の西を回り走る、ガイドは午後の勉強会の先生、地元の小野村委員、「標高876m、峰は二つに分かれ西を男体、東を女体という。

小田部鋳造にて

  昔の鉄道軌道跡が今はサイクリングやハイキングロード、万葉の短歌「筑波峰の 嶺よりおつる 男女川 こひぞつもりて 淵となりぬる」の名調子が出たあたりで、真壁町に。最初の見学先、小田部(こたべ)鋳造(株)に到着。創業以来800年梵鐘、半鐘、天水桶などを作り続け、有形文化財指定の鋳物工場である。37代御鋳物師小田部庄右衛門、社長に迎えられる。

勉強会の様子

 最大の梵鐘は口径が6尺1寸(約2m)、高さ10尺6寸(3.2m)、重さ200貫(約7.5t)、主成分は銅と錫、供養に故人の金の指輪などを入れることもある。少量の金添加では音色は変わらない。型は掻き型、粘土は地元産の上質な物を使用。形、模様は伝承。笠の下の突起(竜頭)は108個で人の煩悩の数に相当するとのこと。甑溶解で、土間込、鋳込みが見られず残念だが、見事な2個の梵鐘を見学、梵鐘のレプリカを記念に購入、約1時間の見学を終了した。

自動車鋳物(株)玄関にて

 午後から全員揃って自動車鋳物(株)の見学。第2工場(生産量2,200t/月)の半自動仕上げ工程、KDMとAMSラインの間と抜け、自動注湯システム、配湯機構、溶解場、中子製造そして部品工場の順で見学。シェル、コールドボックス、ペプセット、βセットの4種類の中子を使い分けしている。中子砂が主砂に及ぼす影響が問題、主砂はCB値37±3%で管理されているとのこと。小物自動車部品から建設機械の中物品まで多品種。生産はFCとFCD半々とのこと。続いて小野村さんを先生に「自動車用鋳物の欠陥対策例について」の勉強会。欠陥を溶湯と造型絡みに分類し、原因と対策について講義と質疑応答で約1時間半有意義な時間を共有した。

牛久ワイナリーにて

 最後に小田部鋳造の皆さん、自動車鋳物の鈴木工場長初めお世話頂きました方々に厚く御礼申し上げます。 見学会の後、牛久ワイナリーで歓談、年齢を超えて鋳物に対する熱き思いと先人の技、言葉の意味について語り合い散会。次回は来年3月頃、非鉄工場見学予定。