関東支部の活動

YFE

鋳鉄の溶解鋳造実演 in NIMS(National Institute for Materials Science)

(独)物質・材料研究機構
高森晋

 科学技術週間(今回は4/12~4/18)に合わせ、4月18日(日) 発明の日、青少年を対象に(独)物質・材料研究機構(NIMS)の特別公開が行われました。この催しでは「ピュータークラフト」や「ちびっ子科学工作教室」など9つのイベントがあり、その中の一つに恒例の「鋳鉄の溶解鋳造実演」があります。今回は、鋳造工学会関東支部との共催で実施されました。 
その内容は、鋳鉄を高周波溶解炉で溶解し、それを砂型に鋳込み、フライパンや鍋敷きなどを作る過程を見てもらうものです(写真1)。この実演を1日3回行ないます。一般の方にすると鉄がオレンジ色になって融けて流れるということは非常にインパクトがあるようで、注湯時には歓声が沸き上がる。鋳造したものは、型ばらし、砂落とし、バリを取り後にラッカーを塗って完成、これを希望者にプレゼントします。 

溶解鋳造の見学風景溶解鋳造の見学風景ベー独楽を楽しむ来場者 
 更にまた、鋳鉄に親しんでもらうため「ベー独楽」をお土産にし、これで遊べる広場を用意しました。「ベー独楽」を回すには多少の練習が必要であり、昔よくやったお父さんたちが、子供に回し方を教える姿が自慢げに見えた(写真2)。以前は、鋳鉄の栓抜きをプレゼントしていたが、栓抜きを使うことが近年なくなってきたこともあり、「ベー独楽」をお土産としています(中にはNIMSのロゴが入ったものもあります)。  

展示物を見学する親子 今回は、関東支部との共催ということで、日立金属株式会社よりサイコロ鋳鉄鋳物を展示用に提供して頂いた。20cmほどの立方体で中が空洞になっており、ちょっと指を入れて持ち上げたくなる形をしています。小さな子供が「重い重い」と言いながら持ち上げようとしているのが印象的であり、一般の方にも興味を持って頂いたようです。鋳物は軽量化に向かっているが、このような展示物は重いほうが良い場合もあると感じました。
鋳鉄に含まれている元素ということで、黒鉛や金属シリコンの展示も行いました(写真3)。すると黒鉛を使って落書きを始める子や、また何に使うかはともかくキラキラしている金属シリコンを欲しがる子も現れました。奥様方は、調理器具(薄肉の鍋やフライパンなど)としての鋳鉄品に興味を持たれているようです。

 当日は天候に恵まれたせいもあり10時の開始時間を待たずして入場開始、近隣の少年野球チームや中学生も団体で今回のイベントに参加し、総勢1、216名と予想以上の入場者で賑わいました。鋳造実演の場所は必ずしも広くはなく、見学を断念せざるを得なかった方が多いのが残念でした。

以上