関東支部の活動

YFE

YFE委員会報告

「心が伝わる車づくり」 日産自動車株式会社 栃木工場

(独)物質・材料研究機構  高森 晋

勉強会の様子

勉強会の様子

  2012年2月27日に日産自動車株式会社栃木工場の見学会が開催された。工場は宇都宮市の南に位置する上三川町(かみのかわまち)にあり、北関東自動車道の宇都宮上三川インターチェンジのすぐ南に位置する。学生17名を含む27名が参加することになった。小山駅に集合し30分ほどかけて工場に着いた。当日のスケジュールは、概要説明、2件の現場改善事例紹介、そして鋳鉄ならびにアルミ工場の見学となっている。
 まず、第2製造部の北島徳人様より工場の概要説明があった。この工場は、楕円形のテストコースの中にあり、工場は鋳造部門、加工を担当する車軸部門、組み立ての車両部門そして実験開発の4つの部門からなっており、フーガのハイブリッド車など高級車を中心に製造している。組立数は月に23,000台。鋳鉄の生産量は14,000t/月、アルミニウムについては3,600t/月とのことである。また海外向け高級車のインフィニティの製造工場でもある。
 鋳造工場はMFと表される鋳鉄工場とALと表されるアルミ工場があり、今回見学したのは、それぞれの最初に作られたMF1鋳鉄工場とAL1アルミ工場である。それぞれ ナックルステアリングとアルミシリンダーヘッドを中心に製造している。
 鋳鉄工場では溶解設備としてキュポラ、電気炉があり、主型と中子の造型ラインを有し、各種FCDならびにFC250を製造している。アルミ工場では溶解炉として急速溶解炉と反射炉を、鋳造法としては重力鋳造、低圧鋳造、高真空ダイカスト、スクイズダイカストを使用している。そして製品はシリンダーヘッド(低圧鋳造)を主に生産している。現在は「もの作り品質世界一」をスローガンに更なる品質向上に勤しんでいる。
 勉強会では現場改善事例として、椎橋健二氏による「鋳鉄の品質向上活動」と惣田裕司氏による「アルミ溶解材料のベストプラクティス」のご講演があった。鋳型に起因する鋳造不良対策に関する話や、原材料の配合など現場での長いデータの蓄積のもと確立された技術についてご講演していただいた。

集合写真

集合写真

 見学終了後は、学生まじえての懇親会である。学生にとっては現場のことはわからないことも多かったようであるが、勉強になったとの感想が多かった。また、アルミ工場の無人搬送車の印象が大きかったようである。搬送車の台数が多く、説明に聞き入っているとぶつかりそうになるというくらい走っていた。よく学生の質の低下ということを聞くが、今回参加していただいた学生に関しては、非常に多くの質問をするなど、学ぼうとする姿勢が感じられ将来が楽しみに思えた。
 今回は、鉄とアルミの両方が同時に見学できる数少ない工場を見学でき、貴重な機会であったように思う。末筆ではありますが、工場見学の開催にあたり快く引き受けていただき丁寧な説明をしていただいた、日産自動車栃木工場の様に厚く御礼申し上げます。