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鋳物用語解体新書

「溶解炉」は正しいのか? 〜言葉と漢字と意味のミスマッチ〜

溶解:melt;

 「鋳物用語辞典」(鋳造工学会発行)には,併記されている。一般に原材料を融かす事、その作業を意味する言葉と理解されているが? 学校では、化学の時間に塩を水に溶かして「溶媒」、「溶質」、「溶解度」、「飽和」、「過飽和」 などの言葉と一緒に覚えたように記憶している。はてさて、固体が融ける事を「溶解」とは「これ如何に」である。

  「塩や砂糖は水に溶ける」だが、氷は「溶ける」ではなく「融ける」である。英語で「溶解」は「Dissolution」である。国語辞典では固体を液体にするのは「溶融や融解」と説明され、対義語は「凝固」である。

  和英辞典では「MeltやMeltdown」である。一世代違う先輩は「熔解」を使ったらしい。言葉では「ようかい」でも、漢字では「溶解」でなく「熔解」が良い。 ならば,提案する「溶解」改め「熔解」に、「溶解炉」は「熔解炉」。「融解炉」と呼ぶことにしよう。ご賛同いいただけるでしょうか。

  但し、成分調整のために融鉄に添加された加炭剤(黒鉛)は、「溶解」である。ちなみに黒鉛の融点は書かれていない。酸化雰囲気では500℃で酸化し始めるが、還元雰囲気では3,500℃でも安定であると説明されている。

H.K