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鋳物用語解体新書

「湯口」から「お釈迦」まで

 先月挙げた現場用語には人体に関係あるものが多く人間臭いものが多い。先ずは、口と顔と足を挙げる。

①「湯口」:鋳型に熔湯を注ぐ通常垂直に付けたれた流路⇒口と食道の関係に似ている。

②「湯面(ゆづら)」:熔湯の表面のこと⇒人の顔や頬に当たる。その他「湯(熔湯:molten metal)」がつくのに

③「湯足(ゆあし,fluidity)」などがある。これは「湯流れ」のことで、「湯足が良い」とは「のみ(鋳込速度:pouring rate)」が良い熔湯のことになる。また、熔湯が鋳型に流れる込み充填する様を「のたる」や「のたらず」と言い、昔は思ったように温度が上がらない熔湯が鋳型内に「這うように、うねるようにして進む様子」を容易に想像できる。前者は鋳型の隅々まで湯が回り、後者は「湯流れ不良」で製品にならない。これを俗に「お釈迦」になると言うが、このような不良品をなぜ「お釈迦」と呼ぶかについては、面白い話がある。それは次回に説明するとして、まずは想像して推理してみては如何でしょうか。ヒントは,上述の「のたらず」と仏像「阿弥陀如来像と釈迦如来像の違い」です。

(2009年1月)