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鋳物用語解体新書

通し(とおし)

 鋳物砂を一定粒度に分けたり。または石ころ、地金屑微粉などを取り除くときに使用するふるい(篩)のこと。

  篩(ふるい)と言う言葉を知るまでは、これが使われていたのでしょうか。動詞の「通す」から名詞になったとのこと。

 鋳型に使われる砂は再生して使う。注湯が終わった鋳型(砂型)は放置され、冷めてから鋳物を型から取り出す(ばらす)。砂は焼かれ、一部はかたまって玉になっている。さらに注湯時に湯がこぼれたり、はねたりして湯玉に、また“ばらした”時に“ばり”が取れるなどして鋳込んだ金属片が砂に混入している。このままの砂では、健全な鋳型を再生できない。そこで一工夫、網を“通して”砂の塊や湯玉、ばりなどを取り除く事になったのだろう。そしてそれに使った道具を「通し」と呼んだ。なるほど身近な言葉で分かりやすい。「通す」が「通し」、そして「篩」、次はどうなるのだろうか。居酒屋の「お通し」も語源は同じかもしれない。すべて一様に「同じものを出す、同じものを通す」か?

(2009年4月)