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鋳物用語解体新書

ボーメの謎

ボーメ*):密度と比重の単位ですが、鋳造業界では「焼き着き」などを改善する塗型剤の濃度管理に使用されています。測定は、釣りの“棒状の浮き”に似たガラス製浮き秤(はかり)“ボーメ比重計”が使われます。この比重計は、うどん屋さんの鹹水(かんすい)、汽水域に棲む魚の飼育水槽の塩分、ワイン醸造所のアルコール濃度測定や軽/重油などの比重測定に使われています。
 さて、密度と比重ともに物質の状態(固、液、気体)を問わず、均一物質の物性値です。それなのに不均一混合物(液体)である塗型剤に使用されています。なぜなのかは分からないが、十分ではないかも知れないが、その現場管理に利用されていのです。
 ところで、塗型剤とは、鋳型に鋳込まれた溶湯と接する面に(空隙面)に塗布され、耐火性のある薄い塗膜(多少の通気性を有する)を作るものです。従って塗型剤の管理には、均一で粘度が一定なペンキに似た特性を挙げることができます。現場でのペンキの特性は粘度計(フォードカップ)で管理されています。これからの塗型剤は、不均一液体からより均一液体に、通気度のある殆ど分離しないペンキが理想、現場管理に粘度計(フォードカップ)が必要となる時代が来るかも知れません。

*)ボーメ(Bh):ある物質の比重(d)の逆数を1から引いた値に144.3を掛けた値(下式)で、水より重い液体で使用される。     Bh =144.3(1-1/d),d =144.3/(144.3-Bh)
1784年にフランス人の科学者で薬剤師のBaumé(ボーメ)が提唱、最初は蒸留水のボーメ度を0°Béとし、15mass%食塩水の値を15°Béとして、この間を15等分したものでしたが、改良され実用化されて今日のように使われるものになっている。流下式塩田時代に鹹水(かんすい)の塩分濃度を測定するのに使用された。真水(まみず)のボーメ比重は0度、海水は約3度である。

(H.K)
(2010年2月)