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鋳物用語解体新書

ぬすみ/tooling allowance:

 逃げ代のことで、鋳物の凹部、角部を仕上る場合のバイトやすりなどの工具を逃がすために付けられた余裕(図解鋳物用語辞典、日本鋳造工学会編)

「ぬすみ」、すなわち「人に知られないようにこっそり・・・する」、この場合「必要な空間を盗む」ことで、「必要な空間をとる」と言い換えられよう。人に知られないようにやっていたかどうかはわからないが、鋳造後に切削用の刃物(バイト)ややすり(鑢)などの加工が出来るような「空間を取った」ことになる。盗人など負のイメージが一新され「目から鱗」である。
 英語のallowanceは余裕部分、割当て量のことで、[逃げ代]の「代」即ち「あることのために必要な部分、一般的に「糊代、綴じ代、縫い代」などがあり、鋳物用語の[縮み代]にも通じる。鋳込んだ後のことまで考える鋳物作り、まさに品質管理の原点ではないか。

(H.K)
(2010年3月)