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鋳物用語解体新書

「たたら」の語源

高炉の写真

高炉の写真(出典:Wikipedia)

 先月、古代和鉄・和銑の精錬法として「たたら製鉄」の「たたら」について紹介したが、その語源について気になったので、調べてみた。
 島根県安来(やすぎ)市にある和鋼(わこう)博物館の資料によると、「タタラ」とはタタール人(ダッタン人)の技法が中央アジアから朝鮮半島を経て日本に伝わったものと言われているそうだ。つまり、「タタール」人が「タタラ」に変じたと言われている。日本の多くの文化が朝鮮半島から入ってきたが、古代製鉄技術も同じである。その後、たたら製鉄の遺跡は日本各地に分布しており、古代から庶民の農具や仏像作りに、そして武士の時代になると、鉄製の武器(刀や鉄砲など)の製造に、なくてはならない重要な技術として日本各地で伝承されたが、明治以降は大量生産ができる高炉(鉄溶鉱炉,写真参照)による間接還元製法が主流となり、手間と時間が掛かる“たたら”は廃れたという。




(A.Y)
(2011年5月)