関東支部のご案内
年頭の挨拶
大震災を乗り越えて
第20代支部長 井田 雅也
新年明けましておめでとうございます。
輝かしい新年を迎え、会員の皆様におかれましては、一年の御健康と、更なる飛躍の年になります事を、心からお祈り申し上げます。
昨年を振り返りますと、やはりどうしても3月11日に発生した東日本大震災の事を記述せざるを得ません。亡くなられた方、怪我をされた方、家族をなくされた方、未だに生活を立て直せない方を思うとき、お見舞いなどという安易な表現は出来ませんし、自分たちにまだまだ何か出来る事があるのではないか、と思わざるを得ません。東北地方及び茨城県沿岸部の鋳造工場にも甚大な被害が発生しました。自分自身もその一工場に復旧応援に出向き、そこで強く感じたのは、人の団結力・決断力そしてスピードでした。直後は操業再開に最低でも数ヶ月を要するのではないかとさえ思われた様相が、日ごとに復旧していくのを垣間見た時に、ヒトは一人では無力だが一致団結した時の力はなんと大きいのか!自分には強烈ともいえる印象が心に残っています。
また、関東支部主催で5月に東京工業大学・大岡山キャンパスで行われた、第158回全国講演大会にも少なからず影響を及ぼしました。工場見学会をはじめとした、いくつかの行事を中止にせざるを得ませんでした。しかし、この大会には講演会を主に例年以上の多くの方に御参加いただき、大成功に終わる事が出来た事、またお会いした多くの方から「盛況で良かったですね、ご苦労様です」 等々お声掛けいただきました。これもまた大会実行委員の皆様の一致団結の成果であり、心より感謝申しあげる次第です。また大会期間中及び懇親会の席にて募金箱を設置し、参加者の皆様より頂いた御厚志は41,374円になり、全額を何か元気の出る行事に使っていただくべく、東北支部にお贈りした事をこの書面にて報告させていただきます。
大震災に関連してもう一点お伝えしなければならないのは、被災に関する研究部会の件です。前述の通り、多くの鋳造工場が大きな被害を受けた事を後世に残す。今後繰り返されるであろう震災に対する構えや対処すべき行動を教訓として被災した者同士が共有し、更には同じ鋳造の仲間に周知してもらうという目的で、本部研究会から委託された形で関東支部が主体となり、㈱アイメタルテクノロジーの佐藤和則さんを部会長に、「東日本大震災の被災対応に関する調査研究部会」として期間限定の部会として活動を行っています。被災された各社に対し被害状況や復旧対応、どうすべきだったか・・等のアンケートをお願いし、現在既に数十社からの回答をいただき、集計・まとめに入っております。今年どこかの機会にて結果報告会を実施したいと考えています。
大震災,原発事故による電力不足、タイの洪水など、様々な困難に向き合った2011年でしたが、鋳造を含めた製造業にとって深刻かつ努力解決出来ない問題は為替の問題かと思います。今年2012年もこの円高基調に変化がないとしたら、多くの製造業が国内で操業して行くのは困難であるといわれています。更に、東南アジアやインドを中心とした開発途上国での自動車や産業機械、インフラ関係の需要が急拡大しており、この事も生産の海外シフトの大きなニーズとなっている事は間違いないようです。それでは、国内の鋳造メーカーは海外に生産拠点を移すしか道はないのか?その一つの答えが以前からお伝えしている、2極化・バリエーション化であろうと考えます。要求品質水準や文化の相違で、海外の顧客のニーズはその地域独自とも言える相違があり、それに対応するには、現地ニーズに特化した開発が求められています。コアな部分は国内で造り、バリエーション化の部分についてはその地域により近い場所で供給する”遅延差別化”がますます重要になろうとしています。そして国内で生き残るべきコアな鋳物に要求されるのは、高精度・高強度、異材の複合化、さらには機能部品の一体化や加工レスが挙げられます。一方、鋳造の後工程である加工の世界では、複列化が主流になりつつあります。専用加工機を直列に並べるのではなく複数の加工が出来る加工機を並列に並べることで、生産量の増減や機種のバリエーションに対応する手法ですが、欠点としては、工具交換ロスと複列化した台数分の工具ユニットが必要になります。そこで今まで以上に効果をあげるのが加工レスで、実際に自分の経験でも、複角の加工の鋳抜き化により、後工程に大きなメリットを生む事が出来ました。今後もコア部品に対する設計上、生産技術上の要求はますます高くなると思われ、それに対応するモノ造りこそが、国内生産を維持継続発展させてゆくカギになろうかと思います。
最後に,最近出会った素敵な一言を御紹介します。
「夢は誰にも奪えない、そして夢は決して逃げない、自分が夢から逃げてしまうのだ」
改めまして、会員の皆様の一年の御多幸を心よりお祈り申し上げます。
(平成24年1月)