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図3に球状黒鉛鋳鉄の代表的なブルスアイ組織を示す。ちなみに、ブルスアイとは雄牛(ブル)の目(アイ)の意味で、黒目(球状黒鉛)と白目(フェライト)の状態が雄牛の目に似ていることから、このように言われている。このフェライト部分は、凝固完了時(まだ高温)のオーステナイトと呼ばれる基地中に含有している炭素が、室温になるまでに基地中に点在する球状黒鉛の表面に黒鉛となって現れる(析出する)。この白目に相当するフェライト相の大きさ(厚さ)は含有する合金元素や冷却速度に依存し、これらが変わらなければ、ほぼ一定である。したがって、接種により黒鉛粒数が増加すると、フェライトの割合が増加することとなる。
完全なフェライト基地組織の球状黒鉛鋳鉄では、良く磨き詳細に観察すると、凝固時に生成した黒鉛部(内周部)とその後の冷却過程でオーステナイト基地中の炭素が黒鉛化した黒鉛(矢印で示す外周部)とが明確に識別できる(図4)。これは、凝固時に生成した黒鉛の方が固相から生成した黒鉛よりも結晶化が良好なためであろう。
片状黒鉛鋳鉄の場合には少し複雑で、黒鉛形態も基地組織に影響する。この現象は、D型黒鉛部にフェライトが発生し易いことで知られている。これは、D型黒鉛は細かいので、A型黒鉛に比べて黒鉛と黒鉛の距離が近く、オーステナイト中の炭素が容易に黒鉛化できるためである。この現象は、球状黒鉛鋳鉄の場合にも黒鉛の近傍で黒鉛化が起こり易い(ブルスアイ組織)ことと良く似ている。 |